どこにも書いてない集合住宅のベランダガーデニングと大規模修繕の関係

2. ベランダのメンテナンス

巷には素敵なベランダガーデンの情報が溢れています。

どれも真似したくなるようなものばかり。

筆者が最近買った某雑誌にも、植物モリモリの楽しいベランダが沢山掲載されていて・・・

が、

集合住宅のベランダガーデンを創る際には注意しておくべき点あります。

素敵なメディアや本には書いてないんです・・・

何がって

集合住宅では必ず大規模修繕ってものがあるってことを!

筆者はベランダガーデン歴10年超ですが、数年前に大規模修繕を経験しました。当然ながらベランダガーデンは全リセット。その経験をもとに、ベランダガーデンを創り上げるうえで最初から注意しておくべき点を書きたいと思います。

なお、こちらの記事は定期的な大規模修繕が必ず行われるマンションのベランダを想定した内容となっていますので、一軒家のベランダーの方向きではありません。あしからず!

そもそも集合住宅のベランダは共有物

そもそもマンションのベランダはその部屋の人のモノではなくて、マンション全体の共有部になります。そのため、マンションの利用規約にはベランダ利用についての制約事項が記載されています。

コンクリート製のマンションではあまりないと思いますが、重量制限がある場合には重い物は置けませんし、ベランダは災害時の避難経路になることもあるので、避難の妨げになるような場所にモノを置くのも厳禁。

そのほか火気厳禁ですし、たばこやゴミなど匂いがするものも禁止されていたりなどなど、色々な制約がありますので、ベランダガーデンを創る際も気をつけないといけません。

共有部である以上、 大規模修繕などの際に「我が家のベランダはガーデンがあるので、修繕してもらわないでOKです!」はNGになります。

これはかなり大事なポイントで、うっかりベランダに動かせない花壇や池なんて作った日には大変です。

マンションの管理組合から、そういった施工物をベランダにつくることについて了承を得ればよいかもしれませんが、中々非現実的だと思います。

たまに、「こんなベランダガーデン素敵でしょ!?」的な雑誌やネットを見かけます。

これ絶対トラブルになってます(笑)

規約違反だけでなくて、鳥がうるさいとか虫が出るとか、枯葉が落ちまくるとかご近所さんからのクレーム間違いなし・・・

ルーフバルコニーもベランダと同じで通常は共有部分になりますので注意してください。

大規模修繕は10年に一回は来る

共有部であるベランダは大規模修繕の修繕対象になります。

一般的なマンションでは、国土交通省のガイドラインに従って12年に一度は大規模修繕をする想定でいると思います。筆者の住んでいるマンションも修繕計画上は10年に一度で予算化していましたが、点検して痛みが少ないということで、結局築後12年目で1回目の大規模修繕を行いました。

ベランダなど外側は風雨に晒されているので、シーリングなどが痛みやすく修繕しない選択肢はあまり無いようです。勿論修繕積立金がなくてコストカットを優先する場合もあるでしょうが・・・

というわけで、ベランダガーデンはこの10年ごとに必ずやってくる大規模修繕を見据えて、つくりあげておくことが大事です! マンションに入居する際は、次の大規模修繕の時期がいつなのか、必ず確認しておきましょう。

大規模修繕で、ベランダガーデンに起きること

では、大規模修繕のときにベランダガーデンで対応しないといけないことを見ていきましょう。

ベランダをすっからかんにするための撤去作業

ベランダの壁から手すりからシーリングから、予算上の問題がない限りすべての箇所が修繕対象になるはずです。そのため、基本的にはベランダの私物はすべて屋内やどこか別のスペースに撤去しておく必要があります。

筆者のケースでは頑張って屋内に植物やガーデニンググッズを撤去しましたが、かなりの植物がダメになってしまい、また約3カ月の間、屋内にグッズが溢れるという状況で中々苦痛でした。

広い家なら気にならないのでしょうが・・・

屋内に置くことが難しい、または日光が絶対必要な植物を抱えている場合、マンションの管理組合や修繕業者さんに相談して、植物を一時的に置いておくスペースを確保できることがあるので、事前に相談されることをお勧めします。

筆者のマンションは敷地にそういったスペースがなくて断念しましたが、聞いてみる価値ありです。

そのほか、長期不在中のベランダメンテナンスの記事でも紹介しましたが、植物を一時期的に預かってくれる業者に大切な植物を預ける手もあります。

恋しい太陽

大規模修繕期間中は建物全体がカバーで覆われます。

その期間中、当然ながら日光は殆ど入ってきません。

そのため、日光不足が影響する植物にはダメージが大きいので、できるだけ屋外で一時的に植物を退避できるところを見つけることが先決です。

筆者は室内で植物の管理を試みましたが、3カ月間日光が当たらない状況で耐えられたのはアジサイや樹木類など、日陰でもイケる子たちだけで、他は少しづつ弱っていきダメになってしまったものも多数。

普段から日陰向けの植物で、ベランダをシェードガーデン化しておけば難を逃れられますが、その場合は選べる植物が限定されますので諸刃の剣です。

温度管理

日照問題とともに、温度管理の問題も出てきます。

夏場に大規模修繕が行われると、建物全体がカバーに覆われるのと、施工途中だと窓も開けられませんので、屋内はかなり暑くなります。そのためクーラーをガンガン効かせないとつらいのですが、植物にはエアコンの冷たい風が直接当たらないように気をつけないといけません。

冬場にやる大規模修繕では、逆に室内暖かくなるので、温度の面では特別注意することはないかなと思います。暖房で乾燥するので、屋内に植物を避難させている場合は、湿度や水やりの管理は丁寧にやる方が良いですが。

大規模修繕を想定したベランダガーデンの作り方

植物やガーデニンググッズを増やし過ぎない

大規模修繕のときには前述のとおり、基本的にはベランダをすっからからんにしないといけません。そのため一番の対策としては「あまりものを置き過ぎない」という至極当たり前な話になります。

これが簡単なようで、ベランダーとして覚醒してしまった人には相当に難しい(笑)

ベランダガーデンを創り始めると、ジャンジャン植物を増やしたくなること請け合いです。筆者も大規模修繕を経験してからは、自省するようになりました!

植物そのものだったり、気に入った鉢だったりエンドレスに増え続けるリスクが・・・

ツタや蔓は絡まないように工夫する

ツタや蔓は一気にベランダの雰囲気を良くしてくれる優れた植物たちです。

ですが、大規模修繕時には一時的に撤去しなくてはなりませんので、色々なものに絡まっていると大変です。切り取らないと撤去ができません。

せっかく伸びてくれた植物を切ってしまうのはできれば避けたいところ。そのため一工夫することをお勧めします。

ちょっと面倒なのですが、ツタや蔓が伸びてきたら、巻き付かないように定期的にチェックして、人工的にワイヤーなどで良い感じにトレリスや手すりに絡みつけてあげるようにしましょう。

放っておくと、トレリスや手すりにがっつり絡んでしまいます。

絡まったらほどいてあげて、取り外ししやすいようにワイヤーや紐でくくってあげます。

半日陰または日陰でも育つ植物の割合を増やす

大規模修繕期間中、前述のとおり日当たりはベランダも室内も殆どなくなります。

運よく日当たりのある保管スペースを見つけられれば良いのですが、そのような環境が容易できない場合、いくつかの植物が持ちこたえられないリスクがあります。

そのため、マンションなどの集合住宅のベランダガーデンの場合は、大規模修繕を見越してある程度日陰に強い種類を取り揃えておくこともお勧めです。

具体的には、アイビーや紫陽花、ヒューケラにギボウシ、アジュガなどがベランダガーデンにはおすすめです。

んが

すべて日陰OKな植物縛りにしてしまうと、気軽に楽しく自由なベランダガーデニングを楽しめなくなりますので自分の好みと許せる範囲で、日陰に強い植物たちをセレクトしていくと良いと思います。

日陰に強い子たちの例はこちら!

一時的に植物を退避させるスペースを確保する

これができればすべて解決するかもしれません。そう、大規模修繕期間中、植物を退避させることのできるスペースを確保する。または預かってくれる業者さんに植物のお世話を委託するのです。

うまくいけば、マンションの敷地内にスペースを確保することができるでしょう。実際、筆者が施工会社さんに相談したときに、そういったケースもあるとのことでしたので、ぜひこれから大規模修繕に突入される方は聞いてみてください。

こんな隙間スペースも活用する事例も!

マンション大規模修繕工事におけるバルコニーの準備とは

ただし、スペースが借りられる場合でも注意しなくてはならないのが、気温と水やりです。

夏場の場合、暑さや蒸れに弱い植物だと、保管スペースが直射日光が当たり続けるなど過酷な環境だと持たないかもしれません。また、水やりを自分でやる場合、自宅や水場からの距離感も確認しておきたいところです。

冬場の場合、今度は寒さに弱い植物を、ふきっさらしのような保管スペースに置く場合は傷んでしまうかもしれないので、こちらも要注意です。

どうしてもスペースがない場合、植物用のライトを設置する

どうしても、どこにも保管スペースが見つからない

預けられる家族、知人、業者も近くにいない

けど

日光不足になるのは絶対に避けないといけない、大事な植物たちをどすれば・・・

という状態に陥った場合には、出費がかさみますが植物育成用のライト購入をお勧めします。それでも長期間ライトだけではつらいものがあるのですが「無いよりはかなりマシ」です!

その他、最終手段としては定期的に植物を外に持っていくしかありません。

そう、散歩させるのです!!

植物を抱えたまま散歩していたら、奇人変人に見られるかもしれませんが(笑)これもかわいい植物たちのためです。 恥(?)をしのんで陽の光をあててあげましょう!

大規模修繕の時期をコントロールする

大規模修繕は、一般的に春工事(2月~6月)または秋工事(8月~12月)の2つのパターンがあるようです。(最近はそんなに固定化されていないみたいなんですが、筆者は業者さんからそう説明された)

さて、ベランダーにとってはどちらの時期の大規模修繕が望ましいでしょうか?

答えは

秋工事です!(のはず)

春は植物がよく成長する時期ですし、何より気持ちがいいので、筆者は秋工事をぜひベランダーの皆さんにはおすすめしたいです。

秋工事だと、「秋」がベランダで楽しめなくなります。一方で残暑の9月や寒い期間、すなわち植物が休眠がちになる期間に大規模修繕でベランダが覆われてしまった方がまだいいからです。

工事の時期は業者さんがその時期空いてるか?という問題も出てくるのですが、もし大事なベランダのためにも秋工事にしたい、というベランダーの方は面倒ですがマンションの管理組合で役員をやるのが良いのではないでしょうか。

筆者はたまたまですが、大規模修繕を計画するタイミングで管理組合の役員をやっていたので、意見を言って「秋工事」にしてもらいました。

まぁ秋でも、だめになった植物たちが沢山いますので、「春」よりは「秋」だろ、くらいの気持ちで考えておく必要はあります・・・

まとめ「集合住宅でベランダー」をやる覚悟

以上、ベランダーがいつかは出会う大規模修繕について書いてみました。

繰り返しになりますが、大規模修繕について一切触れられていないベランダガーデンのHOW TO本が世の中には溢れています。「いつかはくるぞ大規模修繕」を忘れずに楽しいベランダー生活を送るために、本記事が少しでも参考になれば何よりです。

色々対策をしても、やはりつくりあげたベランダガーデンをリセットする作業は気分的にも体力的にもキツイです。

なのに! このことについて触れないメディアが多いのは、ホントに如何なもんかなーといつも思います。「だって、ほんとーに大変なんですよ。考えておかないと!」というくらい面倒くさいのです。

筆者は今回記載した大規模修繕を念頭に置いた対応策を自宅のベランダに導入していますが、それでも十分いい感じのベランダはつくれますので、ぜひぜひ事前にこれら施策を導入下さい!

それでは、楽しいベランダー生活を送っていきましょう!!

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